新・月下独酌



平泉博士のこと(後)


バークを通じて平泉博士にぶち当たった頃、私の中で博士に対するイメージは通俗どおりの「ゴリゴリの皇国史観の親玉」であった。

天皇陛下を天壌無窮の存在として捉えるだけの、神学とも呼ぶべき歴史学。その総帥としてのイメージである。


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そんな頃、気紛れに読んでみるのも面白かろうと、この本を手にした。

この『物語 日本史』は少年少女向けに書かれたものである。ただ、語り口こそ子供向けであるものの、内容の高度さに正直なところ驚いた。

「明治維新は、古い封建制度からの脱却であり、いわば一種の革命である。そこから日本の近代が始まる」という史観がある。私もこの史観に馴染んでいた。

「そのような史観は、所詮は後付けの歴史観でしかない。現実に維新をくぐっていた人々は、我々が言うような革命をしているつもりはなかったはずだ。ならば、そのような史観が往時の彼らの行為を説明できるはずがないではないか」
本書はこれを気づかせてくれるものだった。








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そして、最近、この書を手に入れた。

丸山眞男と平泉澄を並べたところに、作者の慧眼がある。
著者自身が、冒頭で述べているように、この二人は思想的に全く対照的な位置にあるからだ。




丸山眞男を読む人は平泉澄を読まず、平泉澄を読む人は丸山眞男を読まない。その二人を本書に論じるのは、あるいは読者にとって、唐突の感があるかもしれない。それほどまでに二人は、その思想において対極的だからである。

  (はしがきより)



この書で、なぜ平泉博士は歴史学を神学にまで高める必要性に駆られたのかが、わかったような気がする。

明治期の日本は、西欧より様々なものを貪ったが、最後まで皿の上に乗らなかったのが『神学』であった。



他方で、この『神学』を克服することで西欧の近代思想は始まったといえる。



事実、ドイツ観念論の集大成として知られるヘーゲルも、その出発点を神学に負っている。

『神学』とは何であろうか。それは神という絶対なる存在者を通して世界を把握する手法であろう。その神に代わるものは何か。そして、神の代価物によって世界を認識することは可能なのか。
 信仰とは、全人格的なものである。全人格的ということは、ひとりの人の中において結実し完成されねばならない。そういった神への信仰の基礎である『神学』に代わるものは、やはりひとりの人の中において世界を結実するものでなくてはならない。

ヘーゲルの『個人―社会―国家』のプロセスは、このような下敷きがあったのではないかと私は考える。



西欧より『神学』を輸入しなかった日本の精神的強靭さは、理性をぶつける相手を持たなかった。西欧人が『神学』に立ち向かうことによって己の理性を強固なものにしていったのに対し、日本人は理性の産物のみを導入した。

理性は自生するものではない。日本人のそのような態度の内に、確固たる理性が発生するはずもなかった。ましてや、西欧知識人が悩んだ「信仰と理性の葛藤」に苦しむ人は少なかったことだろう。

平泉博士が「歴史とは全人格的なもの」と述べ、自らの史学を神学にまで高めようとしたのは、この葛藤そのものの克服を日本において独自に解決しようとされたのかもしれない。


ぜひ、勝山の人にこそ読んでいただきたい1冊である。



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# by harukado-ruri | 2006-06-22 23:36

平泉博士のこと



ふとしたきっかけで、平泉澄(きよし)博士の著作に触れることがあった。

おそらく、今の子どもたちは平泉博士の名を知るまい。
否、大人ですら下手をすると平泉澄を「ひらいずみわたる」と呼びかねない。





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博士は、明治28(1895)年に平泉寺白山神社の家に生まれた。

大正7(1918)年、東京帝国大学文科大学国史学科を卒業し、大正12(1923)年には東京帝国大学講師となり同15 (1926)年には助教授となる。

昭和5(1930)年には1年間欧州に留学。この頃は、大学教授候補が渡欧する慣習があったそうだ。

昭和10(1935)年に東京帝国大学教授となる。昭和20(1945)年、敗戦後すぐに大学を辞職し、故郷の平泉寺白山神社の宮司となり晩年を過ごされた。昭和59(1984)年死去。

上記の写真は、昭和43年のものである。



博士の名を良くも悪くも決定付けたのは「皇国史観」である。自由主義者、民主主義者から見れば戦争を美化する思想の最たるものであっただろう。博士は、戦争が終わった時点で自ら職を辞し勝山に戻られた。おそらく自らが受けねばならぬ「何か」を直観的に見抜いておられたのかもしれない。

ちなみに、平泉渉元衆議院議員が博士の末子であることは言うを待たない。博士のご子息のうち、長男は勝山高校で歴史を教えられ、後に金沢工業大学の教授になられた。ちなみに、この方のご長男も金沢工業大学の教授である。先の衆議院選挙の時にお会いしたことがある。








案外と知られていないことだが、博士はE.バークの紹介者でもあった。

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保守主義という政治思想は、革新主義と双生児のごとくに誕生した。

その双生児の母胎はフランス革命であった。この革命はフランスに革新主義を誕生させると同時に、イギリスに保守主義を生じさせた。その保守主義的政治家の始祖がE.バークである。


バークは明治期に金子堅太郎により日本に紹介される。

夏目漱石は、その講演録の中で「バークほどわからぬ思想家はいない」と嘆じた。
無論、漱石ほどの碩学がバークを読めなかったわけではあるまい。漱石自身がバークの著作から引いたとしか思えぬような文明論をしたためていることからもそれは明らかだ。


もっとも、漱石が嘆じたように、バークの思想は世に受け入れられにくかったのだろうか。
一旦、バークの思想は下火になり、平泉博士の労によって再び脚光を浴びることになる。





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平泉博士の『先哲を仰ぐ』には、橋本景岳(左内)や真紀和泉守(保臣)、吉田松陰等に対する論説があるが、そこに『革命とバーク』と題する1節がある。

この扱いを見れば、博士の中でバークが大きな位置を占めていたことは想像に難くない。









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そして、平泉博士が言論界から抹殺されるに及んで、バークの思想も永い眠りに入ることになった。岩波文庫からバークの代表作である『フランス革命の省察』が出版されたのは21世紀に入ってからだ。





当時、バークの著作を読んでいた私は、その縁で平泉博士にぶち当たったのだった。


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# by harukado-ruri | 2006-06-21 17:11 | 本の話

6月議会



6月議会は、昨日より常任委員会に入りました。

私が委員長を務める産業福祉委員会は、1つの案件を除いて、全て審議を終了しました。

最後のひとつが・・・・・悩ましいところです。


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# by harukado-ruri | 2006-06-20 06:12 | 政治の話

大野市長選挙



大野市長選挙の速報が飛び込んできた。

岡田氏が当選された。
まずもっておめでとうございます。岡田氏は4年前の市長選挙で苦渋を舐め、その後4年間を臥薪嘗胆された人物です。その喜びはひときわ大きいことでしょう。


そして残念ながら兼井君は落選された。
「猿は木から落ちても猿だが、政治家は選挙に落ちればタダの人だ」とはよく言われるところですが、政治家は選挙に落ちれば「タダの人」ではないのです。全てを失う、これが落選することの意味です。


ただ・・・・・気休めにもなりませんが・・・・・兼井君は、まだまだ若いのですから、捲土重来を期してこれからも頑張っていただきたいと切に願います。

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# by harukado-ruri | 2006-06-19 01:05 | 政治の話

ワールドカップ


サッカーワールドカップの、日本―クロアチア戦をTVで見た。

GKの川口の活躍は凄まじいものだった。私はサッカーについては、素人も良いところだが、それでも川口がどれだけすばらしい活躍をしたのか位はわかる。



それに比して、FWの二人は何をやっていたのだろう。

高原と柳沢は、最近ではディフェンシブ・フォワードと呼ばれているそうだ。
MFからFWにパスが回る。そこでシュートを打つのは普通のFWである。日本の戦術はそうではない。一旦FWに渡ったボールは再びMFに戻され、そこでMFがロングシュートを打つのだ。

そのように揶揄されるのも、敵ゴール前で、FW同士で横パスを回しているようでは、致し方なかろう。






そして、今日の日本-クロアチア戦を見ていて思ったのだが、ひょっとしたら日本人はメンタリティとしてサッカーに向いていないのではないか?

ゴールに向かってくる外国選手の獰猛さを見ていると、つくづくそう思うのだ。

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# by harukado-ruri | 2006-06-19 01:00 | その他もろもろ

エンゼルランド



たまの休みのときくらいは家族サービスをしようと、春江町のエンゼルランドへ行ってきました。

お隣のハートピアには演奏会などでちょくちょく行くのですが、エンゼルランドは初めてです。


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敷地内には芝生が張り巡らされており、うちの坊主も大喜びです。






こういう姿を見ると、公園には芝生が必要だとつくづく感じます。

現在、勝山市では長尾山総合公園がその役割を果たしていますが、できれば街中にそういったものができないものでしょうか。

可能性としては、長山公園と弁天河原の2つでしょうね。





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さて、この日は春江工業高校の学生さんたちが自作した電気乗り物が公開されていました。作ったのも学生さんたちですし、運転しているのも学生さん、ちなみに物陰では子どもたちに見えないようにこっそりと不良箇所をメンテナンスしていましたが(笑)、これも学生さん。

こういった試みは非常に良いことですので、これからも続けていって欲しいですね。

モノをつくる最大の楽しみは、「自分が造ったモノがどのように使われているか」「どのように役に立っているか」を見ることでしょう。そういった意味で、子どもたちの喜ぶ顔を見た学生さんたちはモノづくりの最も大切な部分に触れたのだと思います。

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私たちも乗りたかったのですが、待っている人たちが長蛇の列をなしていたので断念しました。

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# by harukado-ruri | 2006-06-19 00:57 | 身辺雑話

福祉フェスタ


土曜日に福祉フェスタに参加しました。
私は、高齢者や身障者向けの法律相談ブースを担当しておりました。






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蒸し暑い天気でしたので、人が来るだろうかと心配していましたが、その心配をよそに人だかりができていました。




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市内の小学生たちによる発表会も行われました。

小学生たちがかなり手話が達者なことに驚きました。


また、小学生や中学生たちがボランティアとして色々なブースで活躍していました。




会場内には、蕎麦を打つブースや、、つきたての餅を配るブース、木工クラフトを売るブースなどがあり、多種多彩で見飽きません。





ただ、その中でもひときわ異彩をはなっていたのが、この2つ。



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地震体験車(笑)。

関東大震災を経験させてくれるというこの地震体験車は、消防学校から来たのでしょう。

さっそく、私も坊主と一緒に乗ってみました。
当然ですが・・・・かなり揺れますね。




そして、「足ツボマッサージ」

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あまりの人気ぶりに、整理券を配布したそうです。さすがに2時間待ちと聞いたので、私は遠慮させてもらいました。


(この奥の和室でマッサージは行われていました)







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# by harukado-ruri | 2006-06-19 00:47 | その他もろもろ

テポドン発射


北朝鮮によるテポドン発射の可能性が高まった・・・とのニュースが巷を賑わせています。

「実際には発射しないだろう、ブラフだ」というのが大方の予想で、私もそのように考えています。

北朝鮮のマネーロンダリング(資金洗浄)に関係しているとされたマカオの銀行の資産が凍結されましたね。この米国の金融制裁に対して譲歩を促すためのブラフでしょう。





全体主義国家は往々にして外交がうまい。そりゃそうでしょう。国民のことなど考える必要のない人々がトップにいて、命令系統・指揮系統がはっきりとしているのですから、嫌でも外交はうまくなります。

北朝鮮しかり、中国しかり。



しかし、さすがの北朝鮮も外交カードの手持ちが少なくなってきたように思われます。

「核」や「長距離ミサイル」は実は外交カードとしては上等なカードではありません。なぜなら、振り上げてしまった拳を下ろす場に苦慮するカード・・・・・が核だからです。

「核を打つぞ」「ミサイルを飛ばすぞ」と何回も口に出せば出すほど、「またブラフかよ」と思われるだけ。つまり「足元を見られる」という最悪な状況を生み出します。

かといって、本当にミサイルを打ってしまったのでは国際世論の批判は免れえません。



実は、スーパーKの大量印刷の方が戦略的価値は高いのです。そういったオプションが少なくなってきた北朝鮮は、外交上の不利をどのように挽回しようとするのでしょうか。

眼が離せません。







ちなみに、私は有効性を疑問視しているのですが、将来警戒管制レーダー(FPS-XX)というものがあるそうです。
 これは、弾道ミサイルの追尾能力が格段に優れているということ。もっとも、追尾したところで迎撃しなければ意味がないように思うのですが・・・・・

ちなみにFPS-XXはこれ。b0104829_11211415.jpg

一部では、「ガメラレーダー」と呼ばれているそうですが・・・・

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# by harukado-ruri | 2006-06-18 11:15 | 政治の話

最初は「グー」でしょう


アメリカという国が憎みきれないのは、こういったお馬鹿なことを堂々とやってしまうそのセンスにあるのかもしれません。

USフロントラインより

フロリダ州の連邦地裁判事がこのほど、保険金裁判で証人の供述書の作成場所を決めるのに子供じみた言い争いを演じる双方の弁護士にうんざりし、じゃんけんで場所を決めるよう指示した。

 グレゴリー・プレスネル判事は、このアイデアを「論争解決の新しい手段」と自賛している。判事はさらに、両弁護士が今度はじゃんけんをする場所をめぐって言い争うのではと懸念し、場所を同裁判所の正面階段に指定したが、原告側弁護人デイビッド・ペティナート氏は、被告側と「秘密の場所」で落ち合うことで合意したため、指定場所は必要ないと話した。


この判事も、また、いい加減なことを言います。

おまえら、そんなにガタガタ言うんならじゃんけんで決めろ!

ですか(笑)

それ以前に、アメリカでじゃんけんが普及していたとは驚きです。アメリカは「コイントス」で決めるお国柄だと思っていたのですが。


それはさておき・・・・いよいよ対決の日が決まりました。

 「対決」の期日は今月30日。ペティナート氏は、5歳と9歳の娘とともにじゃんけんの特訓を始めたという。「私たちの勝訴は岩のように堅い」と言う同氏は、「グー」から始めるよう勧めた娘たちの助言を受け入れるつもりだ。


特訓につぐ特訓(笑)。この原告弁護士のノリは良いですね。



さあ、こうなってくると外部の野次馬たちも黙ってはいられませんよ。

 しかし、米国じゃんけん連盟コミッショナーのマッティ・レシェム氏は、「弁護士は2人ともパーから始めるだろう。いつも山のような『ペーパー』を処理しているので、67%パーだ」と確信している。レシェム氏は「司法がじゃんけんを裁いてもろくなことがない」と、勝負の審判を務めると申し出た。


米国じゃんけん連盟・・・・・・・そんなものまであったとは(笑)。

おそらく連盟の総裁はこの人に違いない。

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しかも、「弁護士は紙資料ばっかりいじってるから、絶対にパーを出すはずだ」って、ものすごいオヤジギャグ。

「67%パーだ」という根拠もよくわからん。それ以前に、「67%パー」って何だか頭が悪そうで嫌です。




しかし、この程度で驚いていてはいけないのでしょう。

なにせ、世界じゃんけん協会(WRPS)という組織までこの世の中には存在するのですから。
ものはためしで世界じゃんけん協会のHPへ行ってみてください。

トレ-ディングカードや、じゃんけんの公式攻略本(The Official Rock Paper Scissors Strategy Guide)まで出されていますね。妙な熱気に溢れていて可笑しいです。



ちなみに、このWRPSは“the World Rock Paper Scissors Society”の略ですが、グー(Rock)とPaper(パー)とScissors(チョキ)・・・・ってそのまんま。







さて、ノリノリの判事と、特訓を経てやる気満々の原告弁護士、そして外部のじゃんけん連盟・・・ヒートアップする渦中で、なぜかひとり冷めているのが被告弁護士。

 じゃんけんの手の内を明かすことを拒む被告側弁護人のリー・クレイグ氏は、ペティナート氏ほどじゃんけんに乗り気ではなさそう。ペティナート氏にあてた手紙で、クレイグ氏は「限りないみじめさと悪い感情を生むことが顧客の利益につながるとあなたがお考えなのは明らかです。むだな努力ではあなたにはかないません」と述べている


「むだな努力ではあなたにはかないません」・・・・って、あーあ、ノリが悪いなぁ。





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・・・・・つまらん!


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# by harukado-ruri | 2006-06-13 16:25 | その他もろもろ

おい、キタロー!




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6月になったので、世の中、色々なところで衣替えです。


というわけで、我が家にも、ねずみ男がやってまいりました。


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# by harukado-ruri | 2006-06-13 10:01 | 身辺雑話


掲示板を直せなかった市議会議員のひとりごと
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